…地域の身近な情報をレポート!
 ハクチョウのおじさん
 コブハクチョウってなに?
 どうやって山中湖に来たの?
 コブハクチョウのあかちゃん
 おじさんの願い  おじさんのアルバム

山中湖畔は、この日も寒く湖のいたるところで氷が張っていました。多くのハクチョウが水辺に浮かんでいました。そして、その白鳥にエサを与えている男性の姿がまるでシルエットのように浮かび上がって見えました。近づいて声をかけてみるとそれが山中湖では知る人ぞ知る!「ハクチョウのおじさん」でした。山中湖で「ハクチョウのおじさん」の話を耳にしてから、一度お会いしたいと思っていましたが、今回やっとお会いすることができ、なんとおじさんのご自宅にて色々とお話を伺うことができました。おじさんのお名前は、羽田三二さん、1924年生まれ山中湖畔で民宿「紅富士荘」を営んでいらっしゃいます。
羽田さんは、山中湖に生息するコブハクチョウを見守り続けて13年余り
朝・昼・夜・・・毎日欠かさずコブハクチョウにエサを与え、愛情深く見守っています。
エサは、パンの耳や固形のエサ。ハクチョウ達は、毎朝来る羽田さんの軽トラの音や、口笛の音で寄ってくる、それがかわいくて仕方ない・・と目を細めて語ってくれました。
特に冬の寒い日はたいへん!湖に氷が張ってしまうからです。そうするとハクチョウ達が岸辺でエサをついばむ事ができません。そんな日の羽田さんは、船を出し氷を割りながら岸辺までの水の道筋をつけてあげるそうです。


ハクチョウのおじさん

おじさんが口笛を吹くと・・・

コブハクチョウってどんなハクチョウでしょうか・・・。
全長約157cmほどで翼の長さが60cm、普通にしているとき、首を曲げていることが多いのでオオハクチョウよりも背が低く見えます。
くちばしが淡紅色で、鼻瘤と目先の肌の部分は黒いのが特徴です。南スカンジナビア・中央アジア・イギリス・ドイツなどに多くいます。今日本にいるのは輸入され放し飼いになっているものです。一番最初に飼育されたのは皇居の外堀だそうです。4月下旬から5月に卵を5〜6個産んで温めます。この卵は113mm〜74mmもあります。コブハクチョウはとっても長生き!普通寿命は60年位と言われていますが、最高102年も生きたという記録があります。

 今、山中湖にいるコブハクチョウたちは1968年年7月
山口県宇部市の市営常盤公園というところから、飛行機に
乗ってやってきました。
コブハクチョウ達がやって来る1年前、山中湖畔の別荘主さん達が「山中湖会」を結成して、山中湖を良い場所
にしようと考えました。そして会長の山さん(故人当時52歳)が「山中湖を白鳥の湖にしよう」と提唱し会員
の共同出費によってコブハクチョウ2つがいと、コクチョウ1つがいが山中湖にやってきて夢は実現しました。
そして、幾年かの後、山中湖にオオハクチョウも渡って来るようになりました。その後も会員さん達のその夢を
引き継ぎ、白鳥を愛する山中湖村民や関係者の皆さんに引き継がれ大切にされています。

羽田さんとハクチョウの出会いは、1990年のある日・・・
湖畔でうずくまってるハクチョウを見つけました
それを見ていたら、とてもかわいそうになって葦
を集めてそのハクチョウの下にひいてあげました。
そしたら今まで山中湖では一箇所しか卵をかえさない
といわれていたけれど、葦をひいてあげたことによっ
てそこで卵をかえすようになり、現在では山中湖畔で
は4箇所で雛をかえすようになったそうです。
ハクチョウが卵を温める体温は37.6℃・・・人間で言うと
あれ?風邪ひいたかな? とだるくなっちゃう体温ですね
1995年には5羽、1996年には6羽、1997年には、なんと
「山中湖の白鳥ベビーラッシュ」と新聞にも書き立て
られ17羽の雛がふ化したそうです。また、そればかりか、
他のハクチョウ達も渡って来るようになりました。そして、1998年には14羽、1999年には12羽がふ化しましたが、この頃から、悲しいことに釣り糸・釣り針での事故、卵を割ったり持ち帰られたりする事件が多発しはじめました。

山中湖を訪れるほとんどの釣りファンや観光で訪れる人達はは、とってもマナーが良く自然を愛している方々です。
でも、その中のほんの一部の人達が、あまり深い考えなしに、あるいは知らず知らずに起こしてしまう
ハクチョウや水鳥たちにとっての事故は、残念でなりません
。釣りファンの中に、釣り糸や釣り針、疑似餌(ぎじえ)をそのままにして帰ってしまう人がいるそうです。1998年の新聞に「クチバシに釣り糸山・中湖のハクチョウ」1999年の新聞に「釣り針のみ込む事故続出・産卵にも影響か」。クチバシに釣り糸が絡まるとエサが食べられなくなります。また、釣り客の残した釣り針を誤って飲み込むと、やはりエサが食べられなくなって弱ったり、死亡したりします。実際1998年、釣り針の事故で4羽が死骸で見つかりました。その後も死亡事故は減っていません。弱って首をうなだれているハクチョウを、羽田さんは何羽も何羽も助けています。地元の人達が釣り針・釣り糸を回収していますが、とても回収しきれない状態だといいます。また、ほんの少しの心無い人達によって、毎年卵が割られたり持ち去られたりしています。羽田さんはそのたびに胸を痛めています。「釣り人は、釣り針・釣り糸などの釣り道具はすべて持ち帰ってください。めずらしいからと卵を持ち帰ったり割ったりしないでください。かわいい雛がかえったらその時はぜひ見に来てやってください。」また「人間がハクチョウ達の一番の大敵にならないよう、やさしく見守ってあげてほしい。ひとなつっこいハクチョウ達が山中湖畔で平和に過ごせることが私の願いです」と言っています。 皆さんマナーを守りましょうね。

情報提供・取材協力:羽田三二さん
文章校正協力:山中湖村役場観光課




クリックしてください。羽田さんのとった美しい写真が見られます。



 特集メニューへ

(C)ナビィサービスネットワーク ウェブサイトご利用にあたって 
Copyright (C) 2002 Navi Service Network. All Rights Reserved.