2003年の火祭のもようはこちらで見られます。

大きな松明を燃やし、町中が火の海のようになることで有名な「吉田の火祭り」は富士山の山仕舞いを告げる「北口本宮富士浅間神社」と、境内の「諏訪神社」のお祭りです。
静岡県島田の「帯祭り」、愛知県国府宮の「裸祭り」と並び「日本三奇祭」に数えられ、毎年多くの観光客でにぎわいます。
その火祭りの行程と歴史について、紐解いてみましょう。

金鳥居下に大松明が立ち並ぶ *

●鎮火祭●
この日は、浅間神社と諏訪神社の神様を市中にお迎えして、
今年の登山の無事とご利益を感謝してお祭りをします。
まず神社では神主や氏子、お神輿を担ぐ勢子がお払いをし、
五穀や玉串をお供えします。
その後、ご神霊は「大神輿」と「お山さん」の2基のお神輿に移され、いよいよ市中を練り歩きます。
お神輿がお旅所に到着すると、約3m、70本余りの大松明につぎつぎと火が灯され、赤々と燃え上がり、通りにはたくさんの夜店も立ち並びます。
どうして松明を燃やすのか古資料は残っていませんが、元々地元に伝えられた火焚き行事が神社のお祭りに取り入れられたか、木花開耶姫命などの神話に由来するなど、諸説があります。

赤々と燃える大松明 *
●すすき祭り●
富士山の恩恵に感謝して、山麓にたなびくすすきの穂にお注漣をつけてお神輿に従うと、商売繁昌、学業成就、火防、安産の願いが叶えられると伝えられています。
まず、神社境内で「太々神楽」が奉奏されると、お旅所からお神輿が出発します。金鳥居では氏子の御加護を願う「金鳥居祭」が執り行なわれ、辺りを練り歩くと神社へ向かいます。
境内西にある「御鞍石」でお神輿がひと休みしている間、東側にある「あげ松」では神事が行われます。その後大神輿は社殿前の「高天原」を2周し、「お山さん」が到着すると一緒に勢いよく5周します。その間「お山さん」は地面に3回打ち落とされます。
こうして到着の神事が行われると、ご神霊は本殿に帰され、2日間に渡る「火祭り」が終わります。

すすきを持つ氏子 *



大神輿
寛政年間に江戸の信徒から奉納された。現在の物は平成2年に新調された。



お山さん(御影)
昔は祭りごとに富士山形のものを作って御影としていたが、明治に今のような形になり、現在の御影は昭和48年に作られたもの。
重さ約1トン

勇壮に担ぎだされるお山さん *




●火祭りっていつからあるの?●
一番古い記録では寛政2年(1790年)に御師に招かれて富士登山をした京都・賀茂社の祠官 賀茂季鷹が記した『富士乃日記』に火祭りについての記録があります。
『くれがたより、家ことのまへに、たき木、ひとかゝへにもあまるばかりのかこみにて、たかさは弐間一尺といふが、おほよそ十駄ばかりなりといふ、つい松をたてならべたり…日のくるゝをまちて、一時にともしつけるさま、秋の夜のやみもあやなく見えたり』
とあるように、今と同じように家々の前に松明をたてて燃やしていたことがわかります。

●火事になったことはないの?●
町中で何本もの大松明を燃やす火祭りですが、今まで火事になったことはありません。
これは浅間神社の祭神「木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」が猛火の中で皇子を出産したという故事があり、そのご神徳のおかげだとされています。

●火祭りに参加してはいけない人がいる?●
その年に近親の人が亡くなるなど不幸があった人は、お神輿や松明に見たり触れたりしてはいけないそうです。そのため火祭りの日には外泊したり、家にこもったりする風習が今もあるそうです。

●松明の炭を持ち帰ると良い事がある?●
松明の炭を持ち帰ると、防火のご利益があるそうです。

●「御師」ってなに?●
「御師(おし)」とは富士登山をする人々に案内や祈祷をしたり、宿坊を営んでいた人達のことです。富士講の盛んな頃は金鳥居から神社までの通りに約90軒の御師の家があったそうですが、今でも民宿などを経営しているのは約30軒ほどです。火祭りの日には家を解放し、御師に伝わる貴重な資料やお宝を見せてくれる家もあるようです。

●火祭り日程●
8月26日 鎮火祭
午後3時 本殿祭、諏訪神社祭
午後5時 発興祭、氏子中大神輿御影渡御
午後6時 神楽奉奏
午後6時40分頃 御旅所奉安祭
(上吉田コミュニティセンター)
松明点火
午後10時 松明焚上終了
午前0時 交通規制解除

8月27日 すすき祭り
午後2時 御旅所発興祭
氏子中大神輿御影渡御
午後3時 金鳥居祭
午後6時30分 御鞍石祭(神社境内西側)
午後7時 高天原祭(神社境内)
諏訪神社還幸祭
本殿還幸祭

(※時間は多少前後する場合があります。)
*画像提供:富士吉田市役所、富士吉田観光協会

「北口本宮富士浅間神社」についてはこちらのページをご覧下さい。


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